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看板の設置の前に必ず行うことの一つであるデザイン作成。
なんとなく字を大きめに、わかりやすい地図表記でといった感覚で作られている方も多いかもしれません。
経営者やデザイナーの意見やこだわりに任せている方もいるかもしれません。
しかし、感覚やこだわりでデザインを作成していては、必ずしも通行人やドライバーに目を留めてもらえる看板が作れるとは限りません。
見る側の視点に立ち、客観的なデータに基づいて作成することによって初めて情報発信装置として効果が発揮されるのです。
上の写真のようなロードサイドの看板においては、ドライバーがそれを目にする時間・距離【視認時間】【視認距離】を考慮することが重要です。
遠くから看板を見た場合、当然ながら文字が小さければドライバーは何が書いてあるのか、どんな業種の看板なのかが判らぬまま通り過ぎてしまうことになります。
国土交通省の「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」では、両眼矯正視力0.5を想定して、視力0.5の人が一定距離はなれた場所からでも看板の文字を視認することができる必要な文字の大きさを以下のように定義しています。
視認距離 | 和文字 | 英文字 | |
遠距離 | 40m | 160mm以上 | 120mm以上 |
30m | 120mm以上 | 90mm以上 | |
中距離 | 20m | 80mm以上 | 60m以上 |
近距離 | 10m | 40mm以上 | 30mm以上 |
5m | 20mm以上 | 15mm以上 |
皆さんが日頃目にしている道路標識などは上記ルールにのっとって作られていることをご存知だったでしょうか?
その他にもこんな公式が看板業界では使われていたりします。
ただし、上の式はあくまで見る側が静止していることを想定したものなのでドライバーを対象としているロードサイドの看板などは文字の大きさを更に1.5倍~2倍ほど大きくしないと視認できない可能性もあります。
前述した道路標識のルールと合わせて使ってみて、視認できる時間なども想定しながらどの大きさが適切なのかを判断する必要があるでしょう。
文字の「見やすさ」という観点でもう1つ気にしなければいけないことは書体です。日本中にあふれている看板は多くがゴシック体だと言われています。それは何故でしょうか?
諸説あるようですが、ゴシック体は他の明朝体などと違いほぼ同じ太さの線で書かれた書体なので視認しやすく看板など屋外で読ませる媒体などに適しているということではないかと思います。年月が経ち、多少退色してきた看板でもゴシック体であれば視認性が高いので誤認されにくいということもあるでしょう。
看板の色や文字の大きさについては、解析ツールを使って客観的な検証をすることも可能です。その看板のデザインが、風景の中に入った時に、人の目にはどのように映るのか。実際に設置してみないと、そのスケール感や、色見のコントラストなどは体感できません。
ただ、それを補完する看板のデザイン検証に役立つシステムがあるのでご紹介致します。人が最初の3~5秒間で注意を引かれる要素を高い精度で客観的に予測するソフトがあります。
3MのVisual Attention Software(VAS)です。
専用のWebページに解析したい画像をアップロードし、解析ボタンをクリックするだけで人がそれを見たときに「どこに注目するか?」を瞬時に解析することができます。
VSAのポイントは以下の通りです。
実際に、こちらの画像を検証してみました。
写真は、新宿駅の東口の風景です。このなかに看板広告がありますが、それがどのように人の注意を引くのかを可視化する事が可能です。
このようにヒートマップで目線が集中する部分を可視化できます。暖色の部分(赤・黄)が3~5秒間で最も視線が行く確立の高い部分となります。
システム上、コントラストや色の濃さ、明暗度、文字の大きさや輪郭など目線の行きやすさのアルゴリズムを取り入れた検証システムですので、看板のデザインを客観的に判断をすることが可能です。
このような課題、悩みをかかえている方にはぜひ試して欲しいツールです。実際に考えているデザインを検証してみて、目に留まりやすいものになっているかを精査してデザインを決定して行くことが効果生み出すことになるのです。
誰もが知っているようなナショナルチェーンのお店などは既にブランド化されているため、ロゴだけをしっかりと見せることで十分な場合もありますが、「看板を見る側」が一見して業種イメージ=何屋なのかがわかるようなデザインにすることが新規顧客を獲得する重要な要素となってきます。
文字で業種を表すのがベタな表現で嫌だなと思われるならその業種をイメージさせる写真を大きく入れて下さい。
このことを忘れず、パッと見ただけでイメージができる要素を必ず入れなければなりません。見るたびに頭の中にインプットされ、即効性はないですがジワジワと確実に効いてくるはずです。
これらのポイントを抑えながらデザインをすれば「認知」と「誘導」の機能を果たす効果を上げることができる看板デザインが可能になります。
要素を盛り込むよりも、要素を絞り込み、短い時間でも伝わる内容になるようにすることが何より重要となります。
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